カツラを知られたくない女性のシャンプーについて

私は施設で介護員をしていました。

要介護1のレベルの入居者様Y様は、マイペースでリーダー的な方でいらっしゃいました。
なんでもご自分でお出来になるオシャレな素敵な方でした。

個室のご自分の部屋に入られると、色紙に詩などを書かれ水彩で絵まで添えられ、
器用で多趣味でいらっしゃいます。

そして何より入浴好きでいらっしゃいました。
その入浴に問題が生じました。

頭を決してシャンプーされないのです。お身体もご自分で洗われ介護員は見守りで済みます。ゆっくり洗われて「もう出るわ」とおっしゃいますが、今日も頭をシャンプーなさいません。
ウィッグだからなんだと気づいたのは、入居されてから1ヵ月後かに分かりました。

就寝の時に外されていたのです。私はある時、Y様の入浴当番の時に背中を洗って差し上げながら自分の悩み相談のように言いました。

「Yさん、実は私、部分カツラ付けているんですよ。あれ洗うの面倒なんですよね」「そうなの? あなた若いのに」「そんなの関係ありませんよ。ほとんどの方がつけてますよ、オシャレの為のウィッグ」

Y様は気持ちが楽になったのか、ご自分でウィッグを外され洗いはじめてくださいました。デリケートな部分です。皆一緒ですよという伝え方で、お互い楽な気持ちになれるなと感じました。