自分の親や身近な方が認知症になったとわかると、精神的にもショックや負担が大きいものですね。認知症の方と接するのが初めてというケースであれば、対応の仕方にとても苦労されることかと思います。高齢化社会から超高齢化社会へと移行している今、認知症の方ははどんどん増えていく一方です。

このページでは、ご家族が介護に疲れ切ってしまわないように、なるべく負担が少なくなるような対応の仕方をご紹介したいと思います。インターネットや書籍などでは様々な対処法を書いていますので、ピンとくるものから調べてみるのもいいでしょう。

お年寄りの間では還暦を迎えると、そこからは歳をとるのではなく歳を引いていくものだと冗談混じりによく言われているのはご存知でしょうか。つまり還暦の翌年は61歳ではなく59歳、その次は58歳と気持ちがどんどん若返っていくという意味です。身体的な衰えも出始める年齢ですので、できないことが増えてくるという意味でも使われているのでしょうね。

たくさんのお年寄りと接していて、みなさんに共通して感じるのは、
・昔のように自由に身体が動かせない不自由さ
・他人の手を借りないと、普通の生活すらままならなくなってしまった自分への不甲斐ない気持ち
・いつも面倒をかけている人への申し訳ない・遠慮する気持ち
・数年前はなんでも自分でできたのに、こんなに衰えてしまったという寂しさ

歳を取ると身近な人へワガママを言ったり、感謝の言葉が少ない方もいらっしゃいますが、みなさん同じようになんとも言えない寂しさ、悲しさを抱えていらっしゃいます。

「還暦を迎えたら、あとは歳を引いていく」という笑い話は、他人の手を借りながら生きる子供に、赤ちゃんに戻っていく という自嘲の思いもこもっているように感じます。

たとえ認知症になってしまっても、何も分かっていないわけではありません。
むしろ、認知症が進むにつれて社会の色々なものに思いを煩わされることがなくなるため、相手が感じていることや自分の感情に敏感になっておられるように見受けられます。

認知症になってしまったお年寄りの介護は、本当に大変ですね。
介護者は体力も、精神もすり減らし、余裕がなくなってしまうのはとてもよく分かります。

でも、ちょっと別の角度からお年寄りを見てみてください。
もし、自分が同じ立場だったら・・・?

認知症になるかどうかは別として、結局いつかは自分だって歳を取り、誰かに手伝ってもらいながら生活するようになります。そうなった時、一体どのような心境になるのか、どれだけ不便を感じながら寿命を全うしていくのか、そのお手本を今、目の前で見せてくれているのです。

そんな風に「老い」を捉えると、もっと温かい気持ちで高齢者の方と接することができるのではないでしょうか。

≫認知症が進んだ方への接し方