ある程度の年齢になれば、物忘れはごく自然の事となります。その状態と軽度の認知症の区別は微妙で家族には特に見分けが難しいものです。自分の親に限ってという思いが強い為、或いは希望的推測から、どうしても(歳をとったら、そんなものでは……)と贔屓目で見がちです。
それが、かなり進行してからでなければ発見出来ないという大変な事態を招きます。認知症ならこうする、こうなるというパターンは明確に決まっていません。だから、例えば自分の母親が、今までとちょっと違う性格になったな、と思ったら要注意です。
几帳面だったのがダラしなくなった。いつも同じ服を着たがる。入浴を嫌うようになる。新しいちょっとした事でも面倒臭がり覚え様としない。
料理の手順が分からないようになってきた、もしくは料理を作らなくなった……などなど。私の母親は高齢で現在ひとり暮らしなのですが、自分の事は自分で出来ますし、昔からオシャレでそれは今も続いています。
だから大丈夫と思っていたら、2年程前頃、「うちのドアを深夜叩く人がいる」と言い出しました。あまりにひどいので警察を呼んだというのです。ここまでは、そんな事があったんだと素直に私は聞いていました。「警察官が10人来てくれたのよ」と母親が言った時、あれって思いました。深夜ドアを叩いたというだけで、警察は10名は来ないだろうと思ったのです。
私は母親は認知症になったのかなと思い案じました。兄妹と連携をとって母に会いに行ったり、小まめに電話を掛けたりしました。以来、母親はドアを叩かれる話しはしなくなりました。ひとり暮らしが淋しかったのだと思います。自分に関心を持って貰いたかったのでしょう。
この様な現象と認知症の初期を見分けるのは非常に難しいです。私は冷静にまず初期の認知症を疑った方が賢明だと思います。