物が盗られたという妄想

認知症の方の行動には、その人の性格、個性によってさまざまですが 大きく分けて「妄想」と「失敗」の2つの行動に分類できます。

妄想行動の代表として、物(財布など)を取られたと思い込むケースが挙げられます。

このような時、ほとんどの場合がごく身近な人(嫁や子供)が犯人として疑われます。

日々、大変な思いをして介護をしているのに「財布を盗んだ」「通帳を盗った」と本人からあらぬ疑いをかけられては、ついカッとなって、言い返してしまっても無理もありませんね。

しかし、認知症の方の「誤認」に対して、感情的に対応してしまっては身が持ちませんよね。時間とともに、介護者は心身ともに疲れきってしまいます。

それに、こちらが感情的に怒ったり悲しんだりしてしまうと、お年寄りはますます不安感が増し異常行動を起こす引き金になりかねません。 介護者は感情的になりそうでもグっとこらえて、まずは落ち着いて相手の話しをしっかりと聞いてあげましょう。

そして できれば「大切なものがなくなった」「盗られた」と不安でいっぱいのお年寄りの気持ちに寄り添うように、おだやかに声掛けしてあげられるといいですね。そうすることで、驚くほど相手は落ち着きを取り戻してくれることは多々あります。

「私がとるわけないでしょ!」「しっかりしてよ」「またそんな事言って」などのような、否定する言葉をぶつけてしまうと、お年寄りの自尊心を傷つけ、パニックにさせてしまったり、不安感を助長させてしまい、逆効果です。
まずは、相手が困っていること、不安に思っていることを理解してあげることから始めてみましょう。

具体的には、介護者が盗ったと疑われた場合には

「一緒に探そうか」と提案し、身体を動かしてみたり
「これじゃない?」と、別のものを用意しておいたり
「とりあえずお茶でも飲みながら どこにしまったか一緒に思い出してみましょう」と
別の行動を促してみるのもいいでしょう。関心を別のものへ持っていくことは、認知症の方には非常に効果的です。

同じ行動が繰り返される場合には、介護者がお金の管理をするのはもちろん、少額のお金を入れた財布はしまう場所を決めて分かりやすいところに「財布」とメモを貼っておくのも有効です。お年寄り本人が財布などを隠し、あとで盗られたと騒ぐ場合には、いつも隠す場所を把握しておくなども大切です。

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