認知症の代表的な病気といえばアルツハイマー型ですが、このアルツハイマーは脳の側頭葉の内側や頭頂葉が萎縮を起こします。
「前頭側頭型認知症」は、アルツハイマーとは違い、
脳の前頭葉や側頭葉前方の萎縮が目立ちます。このように認知症は脳の萎縮の部位によって症状や病名が異なってきます。
前頭側頭型認知症の症状
前頭側頭型認知症の代表的な病気にピック病があります。
また、筋萎縮性側索硬化症を伴うことも珍しくありません。具体的な症状としては、嚥下(えんげ)や呂律(ろれつ)の障害や、筋力低下、筋萎縮などです。
前頭側頭型認知症の主な特徴としては、アルツハイマーのような初期におこる記憶障害は目立たないこと、ほとんどが65歳以下で発症すること、正確変化、社交性の消失が初期から目立つこと などが挙げられます。
その他に見られる症状としては、
- 同じ事を繰り返し言い続ける、自発的な発語が減少する
- いつも同じ場所・道を歩き続ける(迷子にはならない)、同じものを食べ続ける、同じ動作を繰り返すなどの「常同的行為」が見られる
- 落ち着きがなくなる・暴力的になる・遠慮がなくなるなどの抑制力が欠けてくる
- 興奮しやすくなったり、躁状態のように見られることがある
- 身だしなみを気にしなくなったり、自分や社会への感心が薄くなる。軽犯罪を起こすケースもある
- 一つのことへのこだわりが以上に強くなる、ものごとへの柔軟な対応が困難になる
- 他人への感情移入や共感能力がなくなり、自発性がなくなる
- 他人の迷惑や感情を気にせずに好き勝手に行動するように見える
以上のような特徴があげられます。
見ての通り、他者との交流・コミュニケーションが非常に難しく社会性が乏しくなってしまいますので、介護する家族は非常に身体的、精神的負担を負います。
このような症状は徐々に進行し、最終的には寝たきりになります。
検査と治療・介護方法
前頭側頭型認知症の検査には、CTやMRIで脳の萎縮を見たり、脳血流シンチグラフィーやPETで脳血流・代謝の低下を確認することで診断されます。
この病気は、現在の医学では進行を止めたり症状を改善するような治療法が確率されていません。
比較的若い頃(働き盛りのころ)に発症するケースが多いため、家族は介護するだけでヘトヘトになってしまうケースが多くみられます。
専門の医者に診てもらうこと、適切な福祉サービスを上手に利用していくことが、患者にとっても家族にとっても 非常に大切です。